「ヒノヒカリ」に代わる品種へ転換
(愛媛県)
中生の品種「ヒノヒカリ」は、食味の良い品種ですが、近年、夏の高温による白未熟粒や充実不足粒の発生で、1等米比率が大幅に低下することが問題となっていました。そこで、夏の高温でも品質低下が小さく、さらに良食味で多収品種とされる温暖化に強い「にこまる」が愛媛県の中生の新奨励品種に採用(平成25年2月)され、平成26年産米は愛媛県が全国1位の生産量となります。
「にこまる」は、高温障害による品質低下が顕著に現れている平坦地を中心に取り組んでいます。
では、平成24年産と26年産の検査量を見ると、途中経過ですが、全国では16,578tから11,245t(約32%減)、本元の長崎県は5,268tから1,404t(約73%減)、熊本県は2,626tから1,745t(約34%減)に対し、愛媛県は389tから2,035t(約5倍)と愛媛県以外では検査量激減傾向に対し、唯一愛媛県だけが激増と正反対の傾向がみられる。愛媛県は、平成27年産米は更に生産量が激増する傾向にある。
「にこまる」は、光沢が良く、粘りが強く「ヒノヒカリ」と同等かそれ以上の食味とされているが、平成26年産米を見ると検査量が減少傾向にあるのは、何を意味するのか?
☆「にこまる」の来歴
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センター(熊本県)で、多収、良食味品種の育成を目的に、早生、多収、良食味「は系626」(のちの「きぬむすめ」)を母とし、倒れにくい品種の早生、多収、極食味「北陸174号」を父として人工交配を行った組合せの後代から2005年に育成されました。(父・母ともにコシヒカリ系統)
★「にこまる」の食味
ごはんの食味は、光沢が良く粘りが強く、「ヒノヒカリ」と同等かそれ以上です。
香りは「ヒノヒカリ」より劣り、硬さは同等で、総合評価は外観。味共に「ヒノヒカリ」より高い。
玄米では、心白や腹白は少なく、外観品質は良好。
☆「にこまる」のネーミングの由来
笑顔がこぼれるほどおいしい品種である事、丸々とした粒張りの良さから「にこまる」と名付けられました。
※ 水稲奨励品種“にこまる”の特性(愛媛県)
※【PDF】愛媛県奨励品種「にこまる」
【 品種:にこまる 】 平成26年産米の農産物検査結果 (平成26年10月31日現在) | |||||
産 地 | 検査数量(トン) | 1等(%) | 2等(%) | 3等(%) | 規格外(%) |
全 国 | 11,245 | 63.9 | 31.9 | 3.8 | 0.5 |
愛媛県 | 2,035 | 71.0 | 28.0 | 0.9 | 0.1 |
岡山県 | 1,873 | 89.3 | 10.0 | 0.7 | 0.0 |
熊本県 | 1,745 | 79.5 | 19.7 | 0.7 | 0.0 |
長崎県 | 1,404 | 17.6 | 76.7 | 5.7 | |
静岡県 | 857 | 90.5 | 9.1 | 0.5 | |
大分県 | 806 | 55.3 | 41.7 | 3.0 | 0.0 |
高知県 | 566 | 19.0 | 59.3 | 17.4 | 4.3 |
福岡県 | 446 | 37.8 | 56.5 | 2.6 | 3.2 |
佐賀県 | 383 | 18.5 | 47.6 | 33.8 | |
滋賀県 | 353 | 95.6 | 4.0 | 0.4 | |
山口県 | 288 | 71.7 | 22.7 | 3.1 | 2.5 |
宮崎県 | 166 | 61.2 | 28.3 | 8.0 | 2.5 |
※平成26年産米の農産物検査結果 (農林水産省/平成26年10月31日現在) |
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