温暖化の波、“ヒノヒカリ”から“にこまる”へ!

「ヒノヒカリ」の後継品種「にこまる」

    高温に強い新しいお米

 

西日本の温暖地、暖地では、最近の気候温暖化傾向により、8月から9月にかけての水稲登熟期が高温になる年が多く、それが原因で起こる「白未熟粒の増加充実不足による米の品質低下が問題となってます。

特に九州地域では一等米比率が50%未満となる状況が数年連続で続いており、事態は深刻です。この原因として、九州の主力品種の「ヒノヒカリ」が高温条件では、白未熟粒多発充実不足を招きやすいことが被害を拡大させていると考えられます。

この対応策として、高温気象下でも安定した品質と収穫量が得られ、なおかつ美味しい品種への要望が高まっています。ここ数年で九州の各育成地からポスト・ヒノヒカリになりうる高温耐性に優れた品種が数多く育成されています。そうした性質を兼ね備えた品種が「にこまる」でした。

 

にこまる 2005年育成。組合せ:は系626(きぬむすめ)/北陸174号
ヒノヒカリより出穂期は3日程度遅く、暖地では中生の中ないし晩に属する。収量はヒノヒカリを約8%上回る多収である。玄米品質は「ヒノヒカリ」に明らかに優り高温での未熟粒発生も少ない。2010年の高温気象下でも栽培された各府県で「ヒノヒカリ」より明らかに高い一等米比率を示し、現場での品質改善効果が確認された。食味はヒノヒカリ並以上に良好で、長崎県産の「にこまる」は穀物検定協会の「米の食味ランキング」で最高ランクの「特A」評価を4年連続で受けている。また各地の米食味コンテスト等でも多数上位入賞を果たし、食味の良さも実証されつつある。現在、長崎、大分、静岡の3県で奨励または認定品種に指定されており、これらの普及地帯および関東、北陸以南の計14県で産地品種銘柄として作付けされており、ヒノヒカリにかわる西日本の基幹品種となり得る可能性もある。

※九州沖縄農業研究センターはこちら

※品種「にこまる」パンフレットはこちら

※「にこまる」の品種開発に携わった坂井真氏はこちら

 

「にこまる」ネーミングの由来。

笑顔がこぼれるほどおいしい品種である事、丸々とした粒張りの良さから「にこまる」と名付けられました。

※「ヒノヒカリ」と「にこまる」の違い。

 

ヒノヒカリより収穫時期3日程度が遅く、収穫量が5~10%多い品種です。

温暖化の影響による品質の低下が少ない品種です。

ヒノヒカリ並に粘りがあり、柔らかく、しかも粒が大きく厚みがあり揃っていて、一粒一粒がシッカリ炊き上がり食感が良い。

いもち病の抵抗性は、ヒノヒカリ同等の「やや弱い」です。

 

平成24年産銘柄別検査数量 (単位:%、トン)
品 種 産地 1等 2等 3等 規格外 検査量
  にこまる    岡山     90.5     9.2     0.3     0.0 1,662
 愛媛    68.2    29.5     2.2     0.1 389
 福岡    75.2 24.0 0.6 0.2 1,670
 長崎 36.6 58.6 4.1 0.7 5,268
 熊本 86.0 13.0 1.0 - 2,626
 大分 71.1 26.7 2.0 0.2 975
  ヒノヒカリ  岡山 59.8 38.6 1.2 0.4     10,517
 愛媛 48.9 48.7 2.0 0.4 6,388
 福岡 15.4 82.5 1.7 0.5 34,580
 長崎 7.2 85.1 7.1 0.7 5,081
 熊本 42.1 56.0 1.5 0.3 38,198
 大分 43.7 48.2 7.8 0.3 22,328

南方の害虫が越冬しコメ直撃 新品種求め、戦国時代に

 

「変わったテントウムシがおる」 ‥ ミナミアオカメムシの幼虫だった。

最も寒い月の平均が度以下になると冬が越せず、半世紀前までは宮崎県南部などが北限だった。だが熊本、大分、福岡と北上し、今世紀に入って岡山、静岡、島根などでも見つかるようになった。発生回数や産卵数が多く、これまで被害をもたらしてきたタイプのカメムシに取って代わりつつあるという。
ミナミアオカメムシはイネにも被害を及ぼす。大分県内の昨年の1等米比率は53%。今世紀初めは80%前後だったのに5年前から5割を下回ることが多くなった。地域によっては被害の半分近くを新旧のカメムシで占める。

「温暖化の先取りと言えるハウス栽培では熱帯や亜熱帯の外来害虫が増えるため、農薬の使用も増える。農薬に抵抗力のある害虫も出やすい」。
高温はイネに直接的な被害ももたらす。対策はすでに始まっている。九州各地の水田で6月、新品種「にこまる」の田植えがあった。「従来の品種より収量が高く、全部1等米になった」。

これまで主に生産してきた「ヒノヒカリ」は、04年ごろから粒が白く濁ったり細くなったりして等級認定が低くなり、収量も減った。九州では8月下旬の出穂期から9月にかけての平均気温が90年代より近く上昇したという。

にこまるは農林水産省傘下の九州沖縄農業研究センターが10年がかりで開発し、06年に普及を始めた。1~1.5度高温になってもヒノヒカリより安定した収量があるという。今年は九州で作付けが1500ヘクタールに拡大。岡山や高知でも導入の動きが出ている。
佐賀、福岡などは県レベルで温暖化対策米を独自に研究している。熊本では「くまさんの力」と名付けた品種を開発し、来年から普及させようとしている。関係者は「温暖化対応の新品種を競うコメ戦国時代」とみる。

 

 

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コメント: 1
  • #1

    佐藤 (日曜日, 16 10月 2016 20:56)

    にこまるの良さがよくわかりました。作付けをヒノヒカリからにこまるに換えようかと思っています。当地は標高が300m近い中山間地ですので、にこまるは不適でしょうか。あるいはヒノヒカリより困難な点が多いのでしょうか。