「残留農薬ゼロ」は農薬を使用して栽培(一般栽培)しても、検査ででなければゼロ(検出限界以下)となります。実際、国内で栽培されている玄米では、籾殻を外して玄米になった時点で検査してもほとんどの農薬は検出限界以下のようです。農薬がもっとも残る部分は籾殻。
残留農薬とは、米作りの過程で使用した農薬が、玄米に残ってしまっていることを指します。玄米中に含まれる残留農薬の基準は、0.5ppm(玄米1000kg中に0.5g)と厚生労働省によって定められています。ここで知っておきたいのは、残留農薬はどこにあるのか?そして、本当に含まれているのか?であります。
玄米の中で残留農薬が一番残るのは、玄米の表皮にあたる糠(ヌカ)部分です。玄米に含まれる残留農薬のうち、約83%が糠(ヌカ)の部分に蓄積しています。その後、お米を研ぐことで+7%が除去され、炊飯調理することで+4%除去されます。つまりもし玄米に農薬が残留していたとしたら、白米の残留農薬量を1と仮定すれば、玄米の残留農薬量は20です。
基準値以下であれば、玄米でそのまま食べたとしても安全性に問題ないとされますが、精米、米とぎ、炊飯により農薬の摂取量を減らすことができます。残留農薬の除去率を調べたところ、下記のように精米、米とぎ、炊飯により、ほとんど除去されるという結果がでています。
精米・・・・・・・・・・83%除去
精米+米とぎ・・・・・・91%除去 ※除去率は農薬の種類 により異なります
精米+米とぎ+炊飯・・・95%除去
※食品衛生法 日本では、厚生労働省が食品衛生法に基づいて残留農薬基準を設定しています。
基準を超えるような農薬が残留している農産物は、食品衛生法により販売禁止などの措置がとられることにより、農作物の安全が確保されています。
現在、慣行栽培(一般栽培)米を検査し、いかにも「無農薬栽培」もどきで販売されている例があります。本来、「無農薬栽培のお米【特別栽培米】」というものが、きちんと適切な管理の下で作られているのであれば問題ありませんが、不適切な管理の下に、「無農薬」を掲げているだけであれば、慣行栽培のお米よりも、遥かに危険であります。適切な管理とは、法律の下で
栽培責任者は、生産者がガイドラインに基づく適切な生産・出荷を行うよう、栽培管理又はその指導を行う必要があります。栽培責任者が行う主な具体的事項は次のとおりです。
① ほ場番号・面積、特別栽培農産物の栽培方法に改めた年月日、栽培責任者の氏名などを記載した看板を生産ほ場に設置する。
② 生産者氏名、所在地、作業予定、使用予定資材などを記載した栽培計画を作成し、確認責任者に提出する。
③ 現地確認年月日、作業実績、使用資材名・使用量、収穫量、出荷量などを記載した栽培管理記録を作成し、確認責任者に提出する。
④ 収穫面積、出荷年月日、出荷先、出荷量などを記載した出荷記録を作成し、確認責任者に提出する。
確認責任者の実施する内容は、「栽培責任者による栽培管理又はその指導が適切に行われていることを確認するものとする」とされています。具体的には、
① 栽培計画の提出を受けたときは、予め生産者から生産ほ場の位置、作物名等を把握し、栽培計画の内容がガイドラインに基づく栽培に該当することを確認する。
② 栽培期間中に少なくとも 1回以上生産ほ場に赴き、栽培責任者から生産ほ場の状況、栽培管理状況、栽培管理記録の記載状況等を聴取し、栽培管理が適切に行われていることを確認する。
③ 栽培管理記録の提出を受けたときは、肥料・農薬等の資材の使用内容をチェックし、ガイドラインに沿った農産物であることを確認する。
④ 収穫後、出荷記録の提出を受けたときは、出荷先、出荷量などが適正に記載されていることを確認する。
⑤ 栽培計画、栽培管理記録、出荷記録いずれの場合も、適正に記載されていると判断した場合には、それぞれに確認年月日、確認責任者の氏名を付記する。疑問点があればさらに詳しく聞き取りを行い、記載の不備等があれば所要の改善指導を行う。
⑥ 栽培計画、栽培管理記録及び出荷記録を受領後 3 年間保管する。
販売するお米に「特別栽培米」の表示を行うには、農林水産省「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」に準拠している旨を「農林水産省新ガイドラインによる表示」いわゆる『ガイドライン表示』によって、包装容器または票片に正確に表示する必要があります。
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