日本人の米文化、 主食の座から転落 (日経新聞)

総務省の家計調査(2人以上の世帯)によると、2011年の食料品への支出は87万2802円。このうちコメが前年比4.1%減の2万7428円()だったのに対し、パンは同0.5%増の2万8318円()だった。

 

1985年、コメへの支出が7万円、パンに対しては1万円だったのが、年々コメへの支出は減少を続け、コメとパンの支出額は05年まではまだ1万円程度の差であったが、06年以降は急速に接近。2011年にはついに逆転し、いずれも支出額は3万円程度になった。ここでいう「米」とは、調理済みのものは含まず、炊飯器で炊く前の米のことを示していて、家庭の中で米にお金を支払うという当たり前の文化が変化していることを如実に示す結果になったと考えられます。

 

主な要因としては、

① 高齢者や共稼ぎが増え、調理済みのものの購入が増加した

② パック詰めのご飯が震災後注目を浴びて、前年比40%もの伸びを示している

といったことが挙げられる。

 

米に対してお金を使わなくなっている要因は、上記の他に米の値段そのものが下落しているということもあると考えられます。総務省「小売物価統計調査」によると、平成16年から平成23年にかけて米の小売り価格は20%も下落していることから、上記要因に付加的に考慮しておく必要があります。

 

また、購入数量でみてもコメの劣勢が目立つ。パンが45キログラム台で横ばいが続いている一方、コメは毎年3キログラム程度ずつ減少。11年は80キログラムだった。全国米穀販売事業共済協同組合が今年2月に会員企業に実施したアンケート調査によると、62%がスーパーなどへのコメの販売量が減ったと回答した。

 

一方、コンビニやスーパーで販売している「弁当」への支出は1万3350円(↑)と過去最高を更新。おにぎりなども含めた「調理食品」への支出が食料への支出全体に占める割合は12%に達している。高齢世帯や共働き世帯の増加を背景にコメを買って自宅で炊く代わりに、調理済みの弁当でコメを消費している実態が浮かんでいる。

 

さらに、米を炊くという行為自体も減っています。その結果、家電メーカーも今までと同じように待っていれば炊飯器が売れる状況ではなくなっていることから、米を炊くことに「本物志向」「高級志向」という新しい領域を求めて訴求せざるをえなくなっている。量販店に行くと、備長炭で炊いた風味などの値段の高い炊飯器が圧倒的な存在感で売られていることからも、現状を見て取ることができます。

 

(出典:日本経済新聞)