· 

必読「ブランド米開発競争」|中央公論新社|熊野孝文

 

令和元年産のコメの品種は、824種あります。

これまで売れるコメの二大スターが、「コシヒカリ」「ササニシキ」の時代があり、ブランド米までに成長したのが「魚沼コシヒカリ」が有名ですが、ブランド米の地位を築くまでには長い年月を要した。

 

最近、ブランド米の地位を築いたのは、北海道「ゆめぴりか」・山形「つや姫」が知られている。

それに続けと、新潟「新之助」・青森「青天の霹靂」・山形「雪若丸」・岩手「金色の風」「銀河のしずく」・宮城「だて正夢」・富山「富富富」・石川「ひゃくまん穀」・福井「いちほまれ」・熊本「くまさんの輝き」‥‥コメの新品種は各コメ産地で続々と登場している。

 

しかし、ブランド米といわれるまでに成長する品種はごく限られ、生き残り競争が激化している。

 

 

【目次】(P1~219|本体1500円+税|中央公論新社)

 

ブランド米の生まれた背景――まえがき

第1章 ブランド米狂騒曲

1 コシヒカリ覇権の経緯/2 新品種はどう開発されるのか/3 あきたこまちと大潟村の挑戦/4 ブランド米の価値はどう決まるか/5 ササニシキの復権に賭ける/6 変わる食味テスト/7 日本一誉れ高いコメ――コシヒカリの味を超えるコメを/8 海外から求められる「龍の瞳」/9 収穫期をずらせるのが魅力「五百川」/10 栄養素が豊富な「金のいぶき」/11 ブランド米と小売店

第2章 ブランド米の功罪

1 味にこだわりすぎた「つや姫」/2 ブランド維持が裏目に出た「青天の霹靂」/3 美味しさの追求は諸刃の剣/4 コシヒカリの受け皿となる品種

第3章 需要に合わせてコメを作る

1 業務用米の世界/2 コメ代わり食品の登場/3 「ご飯」を食べてもらう試み/4 安くて美味しいコメが求められている/5 コメ輸出という悲願/6 農地は増え、担い手は減る

第4章 コメの未来

1 広い面積にはドローンが有効/2 今までの限界を超えるコメ作り/3 コメの種子をめぐる大変革/4 民間のやる気を削ぐ現行システム/5 民間育種は壁を越えられるか――住友化学の挑戦/6 執念の民間育種家

 

 

すごく読みごたえがあり参考になる本である。著者・熊野孝文氏は一度お電話を頂いたのだが、今回プロフィールを見て同じ頃に同じ大学風景を見ていた同じ大学出身と知り親密感を覚える。熊野さんの益々のご活躍を期待する。

コメントをお書きください

コメント: 1
  • #1

    熊野孝文 (土曜日, 17 4月 2021 16:17)

    著書を紹介していただきありがとうございます。
    盛實社長様にお褒め頂いたことが何より光栄です。

    八咫烏になったつもりでメディカルライス協会の渡邊先生の
    コメがコロナの免疫性を高めるというコラムも書きました。
    文科省が広報誌に取り上げているのですから大朗報です。