市場調査のインテージの調べによると、これまで人気だった「発芽玄米」や、「ミックス雑穀」といった健康志向の穀物は伸び悩み、今や炭水化物である「大麦」が2012年度20.3%増、2013年度27.5%増と、とても売れています。大麦市場の拡大の理由は、大麦に含まれる食物繊維とその健康効果にあるようです。
そもそも、白米100㌘に含まれる食物繊維はたった1.5㌘なのに対し、大麦は9.6㌘と約20倍近い食物繊維を含んでいます。
食物繊維は大きく、水に溶ける「水溶性繊維」と溶けにくい「不溶性繊維」の2つに分けられます。
米の繊維の多くが不溶性であるのに対し、大麦は3分の2近くが水溶性です。
●今、水溶性繊維はその機能性で注目を集めています。
便のかさを増し、便通改善を促すのが主な機能である不溶性繊維に対し、水溶性繊維(β-グルカン)は腸の中にいる乳酸菌やビフィズス菌といったいわゆる善玉菌が好物の餌であり、腸を介して全身の健康に深く関わっていることが解明されてきました。
日本人は1960年(昭和35年)には国民一人当たり年間約8.1キログラムの大麦を食べていましたが、この50年で消費量は40分の1にまで落ち込みました。
パサパサして白米に混ぜた時の食感が良くないことが大きかった。白米に比べると、日本で食用に作付けされてきた「うるち」という種類の大麦は炊きあがった直後も冷めた後も白米の2倍以上硬い。その昔、白米不足の中で「麦ご飯」を食べていた年長者に大麦嫌いが多いのもそのためと考えられます。
しかし、美味しい大麦、モチモチした食感を持つ「もち麦」が出回るようになり市場が動き始めました。
白米同様、大麦にも「うるち」と「もち」の2種類があります。日本では、寒冷地型のもち麦が育ちにくいため、主にうるち麦が栽培されてきました。硬い食感のうるち麦を少しでも食べやすくしようと、押しつぶした「押麦」や白米のような形状に精麦した「米粒麦」に加工されて店頭に並んできましたが、大麦消費量は回復しませんでした。
そんな中、2012年春あたりから、米国やカナダといった寒冷地で作られているもち麦がスーパーなどの店頭に並び始めました。現在、量販店やスーパーなどで販売される「もち麦」は殆どが外国産です。
【参考文献】 日本経済新聞 5月15日
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