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「HLA」という、運命の赤い糸

運命の赤い糸


この赤い糸の正体、一説にはHLA遺伝子」という遺伝子の一種で、別名「恋愛遺伝子」とも呼ばれます。

女性は本能で、男性の体臭から恋愛遺伝子を感じとっているそうです。女性が恋に落ちる決め手として、相手の体臭を嗅いで「心地よい」と感じるかが関係しています。

恋の本質は「 ヒト(生物)として子孫を残すことであり 」「より強い(遺伝子的)相手を選ぶことでもあります。」 つまり、体臭の相性が合わない限り恋人や配偶者になれない、また、ならないほうが良いということです。 

 

HLAとは、白血球にあるタンパク質をつくる遺伝子の複合体で、私達が一般的によく使っているABC型の血液型と似たものです。ABC型は赤血球の血液型で、HLA白血球の血液型です。HLAは尿、汗、母乳等でわかるもので、鼻の奥で感じるようです。

HLAは、身体の免疫反応という防衛機能をつかさどっています。人間は、自分と自分以外とを識別して細菌やウイルスといった異物から自分を守る免疫を備えていて、自分に害を与える細菌やウイルスを撃退するために抗体が存在しています。このHLAもそのひとつで、たとえば臓器移植等を行う場合、HLAが適合していることが必要です。そうでないと免疫系移植された臓器を「侵入させたくない部外者」と認識し、破壊することになってしまうのです。

 

恋愛感情とHLAの関係で特に重要な点は、HLAは細菌やウイルスに対抗するための免疫情報を受け取っているという事実です。男女間でHLAが異なるほど、つまり多様性があればあるほど、生まれてくる子どもは、病原体への対処の可能性が高く、厳しい環境に適応できる可能性を先天的に持つということになります。したがって、男女は恋愛関系を構築する上で、HLAが異なる異性を求めるため、異性の好み(HLAの好み)は体臭の好みとして発現してくるということです。

つまり、HLAが体臭という形で相手に伝達され、そのにおいを心地良いにおいととらえるか、嫌なにおいととらえるかで、恋愛の相性が決定されるということです。体臭が良いにおいであるということは、お互いのHLAが異なっていることを示し、くさいと感じることはHLAが近いことを示しています。

 

HLAが似たもの同士は相性が合わないばかりか、妊娠しづらい、流産しやすい、出産しても未熟児になりやすいということになります。つまり、においを通じて先天的な相性、つまり運命的な「赤い糸」と呼ばれるべき恋愛関係を感知しているのです。

嗅覚において最も重要なことは、人工的なにおいをつけないことです。相手に自分の体臭を嗅いでもらい、自分も相手の体臭を嗅ぐことが大事です。

嗅覚で、もし受け入れられない体臭やにおいを直感的に感じたら、遺伝子が「この人はやめなさい」と警告しているのです。

 

では、「加齢臭」=オヤジ臭とも呼ばれるにおいは、中年男性の恋愛市場への参入を著しく妨げる作用が遺伝子に組み込まれているようです。

 

※参考文献 : 早稲田大学国際教養学部 教授 森川友義 著