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中国産冷凍野菜 安全性確保に疑問

≪日本農業新聞≫ 日本フードシステム学会

 

日本に輸出される中国産冷凍野菜の加工で、中国のメーカーが一部の製造過程を外注することが増えたため、安全性の確保が徹底されていないことなどを研究者が指摘。中国企業が輸出先を多角化する中で、日本企業が求める独自の安全基準を満たした生産が難しくなっていると強調した。


東京農業大学国際食料情報学部の菊地昌弥准教授は、中国産冷凍野菜の生産について現地調査を実施。人件費の上昇でメーカーが、野菜の根部分のカットなどの前処理を衛生管理が徹底されていない加工場に委託することが増えていた。日本の企業などでつくる団体が日本向け冷凍野菜工場に求める安全管理基準の「侵入者防止措置」などに対応していないことを確認したという。

菊池准教授は「食品テロのリスクがある。事故が起きても、正確な原因の究明ができない可能性がある。製造過程の外部化は、(調査した)山東省では一般的だ」と強調した。2008年の中国製冷凍ギョーザ中毒事件などで日本への冷凍食品の輸出が減り、中国企業が韓国や米国向けの輸出を増やし輸出先としての日本のシェアが半減。安全性の高い食品を求める日本企業の力が弱まったことも背景にあるという。

農研機構・中央農業総合研究センターの森嶋輝也主任研究員は、地域の企業などを中心に食品分野の組織が連携して競争力を高める「食品産業クラスター」の北海道の取り組みを紹介し、積極的な農商工連携の重要性を強調した。