愛媛県石鎚山系エコツーリズム推進協議会

富士山の世界遺産登録が確実になるなど登山ブームの高まりが期待される中、西日本最高峰の石鎚山の豊かな自然を知ってもらおうと、愛媛県が中心となって体験学習型旅行「エコツアー」を本格的に売り出していくことになった。
県は今月23日、西条市、久万高原町、商工団体、自然保護グループなど33団体と「愛媛県石鎚山系エコツーリズム推進協議会」を設立。「オール愛媛」での取り組みを決めた。
エコツアーは面河渓(久万高原町)、石鎚山成就社(西条市)、同頂上(同市・同町)を巡る1泊2日のプランで、昨年度1回試行。今年度は旅行会社とタイアップし、同協議会メンバーを対象にワークショップ「旅づくり塾」を3回行い、エコツアーの企画を煮詰めていく。
その後、全国からモニターを募り、実際に石鎚山の自然を体験してもらうツアーを5回実施。参加者のアンケートを分析したうえで、販売戦略を見立て、本格的な旅行商品として開発していく。
また、エコツアーに欠かせない現地ガイドの確保や育成も視野に入れる。県は日本自然保護協会の協力を得て、西条市で11月、自然観察指導員養成講座を開く。県内各地で活動する自然保護関連グループのリーダーの養成を図る計画だ。
担当する県自然保護課は「自然保護を啓発しながら、石鎚山ブームを起こしたい」と意気込んでいる。

 

≪久万高原町(くまこうげんちょう)≫

2004年(平成16年)8月1日に愛媛県上浮穴郡の久万町、面河村、美川村、柳谷村が合併して誕生した町。町名の由来は、中心となる地域一帯の名称である。面積は県内市町村で最大。

 

≪西条市(さいじょうし)≫

愛媛県東予地方、西日本最高峰石鎚山の麓に位置する市。国の名水百選にも選出されている「うちぬき」と呼ばれる自噴水(地下水)やカブトガニなどで広く知られる。
西條市が力を入れて取り組んで来た、製造業を中心とする産業振興方針を今も継承し、同市の工業出荷額は四国の市町村の中でも上位に位置する金額である。2000年代前半においては製造品出荷額等において四国最大を誇っていた時期もあったが、その後今治造船や日本食研などを擁する今治市や、番の州臨海工業団地を擁する坂出市に抜かれ、2009年時点では四国3位に転落している。臨海部には国内最大級の今治造船のドックを有する。
今治市⇔西条市⇔新居浜市⇔四国中央市と、四国で唯一、人口10万人クラスの都市が横に連なり、それぞれ特色ある産業が栄え、文化さらには人的交流が活発になされている地域でもある。
2004年(平成16年)11月1日西条市、東予市、周桑郡小松町、同丹原町が対等合併して新たな「西条市」が誕生した。

 

≪エコツアー≫

エコツーリズム(ecotourism)とは、 自然環境の他、文化・歴史等を観光の対象としながら、その持続可能性を考慮するツーリズム(旅行、リクリエーションのあり方)のことである。エコツーリズム推進法が成立し2008年に施行された。エコツーリズムを具体化したツアーをエコツアーと呼ぶ。また、ツアーにおける情報提供をガイダンス(インタープリテーション)という。

 

≪面河渓(おもごけい)≫

愛媛県久万高原町(旧面河村)に位置する渓谷。仁淀川上流9.6キロメートル(上流域のうち愛媛県側を面河川とも呼ぶ)に亘る渓谷で、周囲を四国山地の高峻な山々に囲まれ、入り口付近で標高650メートルに達する。V字谷となっており、早瀬、深淵、瀑布が連続する。国の名勝(1933年指定)で、石鎚国定公園、面河自然休暇村にも指定されている。名所には関門、相思渓、五色河原、亀腹、蓬莱峡、紅葉河原、御来光の滝などがある。石鎚スカイラインが通っており、交通アクセスもよく観光客も多い。紅葉の名所でもある。かつて、石鎚スカイラインの建設に伴う落石により渓谷が埋まるという自然破壊が問題化した。
石鎚山への裏参道登山口であり、面河山(標高1525m)を経て石鎚山頂に至る。しかし、石鎚スカイラインの開通により近年この登山道を利用する人は少ない。二ノ森へは一旦石鎚山頂を経由する必要がある。面河渓に通じる愛媛県道12号西条久万線は通称「もみじライン」と呼ばれる。
面河渓は第三紀に三波川変性帯を覆う石鎚カルデラ形成の火山活動があり、直径7キロメートルに亘って安山岩が分布する。

 

特定非営利活動法人 西条自然学校