伊曾乃祭礼細見図(絵巻)
「天保6年(1835年)~天保13年(1842年)」
『伊曽乃大社祭礼略図』より更に古い時代の『伊曽乃祭礼細見図』が、近年 東京国立博物館(東京都台東区)で発見されており当時の祭礼の様子が 楽車の彫刻の細部にいたるまで緻密かつ克明な描写で描かれています。描かれているのは、だんじり19台、みこし4台、船だんじり1台など。
1850年ごろの作といわれる西条祭絵巻と比べみこしが1台少なく、胴板や隅障子の彫刻などがつぶさに描かれている。
※正確には、天保6年(1835年)~天保13年(1842年)の間に描かれたもので、天保10年(1839年)以前のものと思われます。
※天保6年(1835年)の九代西条藩主・松平頼学(よりさと)候の「天保のお国入り」をきっかけに描かれたものと推定され、水戸藩に絵巻を贈ったものと思われます。
伊曽乃大社祭礼略図絵巻
「天保時代前後(1840年代頃)」
(長さ:26.7m 幅:35cm)
『西條祭絵巻』というのが、伊曽乃神社の資料館にあります。
これは、もともとは仙台藩伊達家にあったものです。話によると、江戸時代に江戸城中の大広間で、仙台の殿様(藩主伊達候)がお国の祭り自慢に花を咲かせていた時に、西条の殿様(9代藩主松平頼学(よりさと)候)が、「そんな祭りなど問題ではない。西条の祭りを見てから言ってほしい。」と、伊曽乃神社祭礼を絵巻に描かせて、仙台の伊達侯に贈ったのです。それがずっと伊達家に伝わっていましたが、昭和25年(1950年)に東京国立博物館の近藤喜博調査官を介して、伊曽乃神社に寄贈されました。この絵巻は、ダンジリ18台、神輿太鼓5台、船ダンジリ、鬼頭、鉄砲組、奴、神輿、諸道具類などを描いた『御神輿の渡御行列図』、西条藩士の礼拝する様子を描いた『御殿前略景』、御旅所の賑わいを描いた『御旅所略景』、『小供狂言之図』からなっています。
そして、そのダンジリの行事に参加している人は町民でありながら、裃(かみしも)を着て、脇差しを差しており、祭りの日には士農工商の区別がなく、藩をあげてお祝いしていたということがうかがえます。筆者は不詳です。
(参考文献)
西条市誌(西条市)、西条市生活文化誌(西条市)、西條史談(西條史談会)、続・西條のお祭り(吉本勝)、伊曽乃神社祭礼絵巻(伊曽乃神社)、伊曽乃神社御昇格五十周年記(伊曽乃神社)、伊曽乃祭礼楽車考(佐藤秀之)、愛媛新聞(愛媛新聞社)、愛媛県生涯学習センター資料。