伊曽乃神社例大祭【鬼頭】

 

 

 

鬼 頭

 

 

 今の御時世に黒い股引半天に、白い糸の房を付けた物を着て、黒い足袋を履き、黒い帽子を冠った黒装束に、黒い鬼の面を背負った時代離れをした人が此処、伊曽乃神社秋の大祭の神輿の御幸(みゆき)と山車(だし)の行列の監督をしています。其の人達を、鬼頭と呼んでいます。

 服装も名前も珍しいが、その歴史が解りません。祭に対しては絶対的な権限をもっています。重さ500キロに余る御神輿に80人の舁夫・供奉(ぐぶ)人がつき、それらの監督と80台の山車行列の整理をする大役があります。この人達が何故この様な服装をして、珍しい呼名をしているのか、神社に資料はありませんが、次ぎのような口碑があります。

 

 『昔、村里の大店の若夫婦に一粒種の男の子がいたが身体が弱い。両親始め家族一同が心配して医者だ、薬だと手を尽くし、最後には加持祈祷までしたがお陰がない。この上は氏神様にお願いしようと夫婦相談してお宮に行き、今から3、7、21日間の裸足のお百度詣りをしますから倅を助けて下さいと願を懸けた。それから雨の日も風の日も、1日も欠かさずお詣りをして21日の満願の夜、夫婦の枕元に白い服装をして、白い髪を長く垂らしたお婆さんが現われ『お前の子供に黒い服装をさせ、黒い色の面を作り、「この子は日本一強い鬼の子だ。」と言ってお祭のお供をさせ。』と言うや否や姿を消した。

ご両親は、あれは氏神様だった。有難い事だが仰しゃる意味が分らない。翌日夫婦揃ってお宮に行き宮司さんに総てを話した。やがて宮司さんが「神様は獣類より鳥類を可愛がられる、中でも鳥を一番可愛がられる、だから黒装束に黒の烏天狗の鬼の面を作り、この子は一番強い鬼の子だと言ってお祭のお供をさせ。」と言われた。夫婦は喜び早速黒い装束と黒い面を冠せて、この子は日本一強い鬼の子だと言って行列のお供をさせると不思議と元気になった。

 すると同じ体の弱い子を持つ親がそれを真似ると忽ち何十人、何百人と黒装束の身形(みなり)の人が増え、今度はお宮が困った。それでその中から古い真面目な人を選んで特別に肩に白い糸の房を付けて鬼頭と称し、御神幸の整理・監督をさせた。すると肩に房のある人は偉い人、剛い人なんだ、その房を下さいという信仰が生じ、何度付けても取られるので面倒になって体中につけるようになった。』

 

 これが、鬼頭とその服装の始まりの説話であります。

 

伊曽乃神社ホームページ[鬼頭顧問 高木 猛(社報「礒野」第1号より)]

http://www.isonojinja.or.jp/%E4%BE%8B%E5%A4%A7%E7%A5%AD/%E9%AC%BC%E9%A0%AD%E4%BC%9A/

 

(参考文献)

西条市誌(西条市)、西条市生活文化誌(西条市)、西條史談(西條史談会)、続・西條のお祭り(吉本勝)、伊曽乃神社祭礼絵巻(伊曽乃神社)、伊曽乃神社御昇格五十周年記(伊曽乃神社)、伊曽乃祭礼楽車考(佐藤秀之)、愛媛新聞(愛媛新聞社)、愛媛県生涯学習センター資料。 



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